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2023.02.16

熱狂するeスポーツを新たなステージへ XENOZグループインによる「J.フロントリテイリング×eスポーツ」が生み出す可能性

熱狂するeスポーツを新たなステージへ XENOZグループインによる「J.フロントリテイリング×eスポーツ」が生み出す可能性
2022年12月1日、J.フロントリテイリング(JFR)は株式会社XENOZを株式取得により子会社化し、“eスポーツ事業参入”という新たなチャレンジをスタートさせました。XENOZ社が運営する「SCARZ」は、日本のeスポーツ界で確かな歴史と実績を誇るチームのひとつです。なぜJFRグループは、そんな名門eスポーツチームをグループに迎えたのでしょうか。

編集・執筆:ハル飯田 撮影:小野奈那子 

 

本事業を推進する事業ポートフォリオ変革推進部の丸岩昌正さん、徳橋修平さんに質問を投げかけると、目を輝かせながらその理由を明かしてくれました。

 

丸岩:「eスポーツはのびしろが大きい有望市場です。Z世代やミレニアム世代を中心に人気が高く、メタバースやNFTといった次世代のデジタルビジネスとの親和性が高い。eスポーツを活用した新規事業や当社グループの既存事業へのシナジーなど幅広いビジネス展開が期待できると考えました」

 

徳橋:「年齢や性別、体格や体力を問わずに楽しめるコンテンツであるeスポーツは、例えば高齢化社会において運動・認知機能の維持に役立てたり、新たなコミュニティを形成したりと、社会的意義のある貢献もできると思います。医療や福祉、旅行、教育などあらゆる分野と掛け合わせることで、無数に新しい可能性を生み出していけると感じています」

 

 

世界で数億人が熱中するeスポーツ


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第五人格部門のオフライン大会での対戦風景(SCARZ提供)

 

ゲーム対戦でその腕前を競い合う「eスポーツ」。オリンピックの正式種目に採用されるかが取り沙汰されるなど、近年のバズワードとなっていますが、その歴史は意外と古く、対戦ゲームの人気が高い海外では2000年頃から大規模な大会が開催され始めていました。

 

世界におけるゲームプレイヤー人口は2023年には約30億人に到達するとも見られており、観戦を楽しむファン層も含めるとその規模は計り知れません。今やプロゲーマーは海外渡航の際にはアスリートビザを発行され、そのプレイによって高額な賞金を稼ぎ出す、れっきとしたスポーツ選手としての地位を築きつつあります。

 

日本でも多数のタイトルで大規模な大会が開かれ、日本代表チームが国際大会で躍進する場面も目立つようになりました。昨年さいたまスーパーアリーナで開催された「2022 VALORANT Champions Tour Stage 2」大会には1日1万数千人のファンが詰めかけるなど、人気と実力両方の面で著しい発展を見せています。

 

 

「世界一のチーム」を目指して


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 「当時はゲームでご飯を食べていくのは夢のまた夢、マウスひとつでも支援して貰えたらすごい、という状況でした」

 

 チームの立ち上げ期をそう振り返ったのは、XENOZ社の代表取締役を務める友利洋一社長です。友利社長は2012年にアマチュアチームとしてSCARZを立ち上げると、自らも選手として活動。当時の日本ではゲーミングチームというだけで画期的な存在でしたが、どれだけ大会で結果を残しても、生活のために兼業を余儀なくされていました。

 

友利社長を奮起させたのは、海外の強豪チームの存在。彼らは給与制での活動に加えて、設備を備えたゲーミングハウスでの共同生活など練習に専念できる環境が整っており、既に「ゲームだけで生計を立てる」ことを実現していました。

 

「自分はゲームだけで生活することはできなかったが、その夢を若い子たちにかなえて欲しい」

 そう考えた友利社長は企業のスポンサードを受けてチームのプロ化に踏み切ります。地道な営業活動と選手の頑張りによってチームは着実に成長を続けました。時に選手の引き抜きなどを経験し苦境に立たされながらも、今では日本有数の部門数を誇り海外の選手も数多く在籍するグローバルなチームとなっています。

 

友利社長のチーム作りには、確固たる信念があります。

 

 

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試合前に恒例の円陣を組むRainbow Six Siege部門の選手達  © 2022 Ubisoft Entertainment.All Right Reserved.

 

「選手を採用する時には人間性を重視しています。どれだけゲームが上手くてもチーム競技である以上、コミュニケーションや連携の面に課題がある選手は活躍できません。そして何より、僕たちの目標である『世界一を目指したい』という想いをどれだけ強く持っているか。そこに共感してくれる選手を求めています」

そんな友利社長がJFRグループインの決め手を明かしてくれました。

 

「僕たちの夢に賛同し、応援しますと言ってくれたことが大きかったです。僕らだけではできなかったことも、JFRグループの皆さんと一緒なら実現していけると感じました。」

 

 

ビジョンの一致が決め手


 

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eスポーツへ参入すると言っても、その手段はチームへのスポンサードや大会・イベントの企画に携わるなど、様々な関わり方が考えられます。敢えて “チーム運営会社のM&A”にまで踏み込んだのは「相手がSCARZだったからに他ならない」と、丸岩さん、徳橋さんは口を揃えます。

 

徳橋:「J.フロントリテイリングという社名には、“小売業のリーディングカンパニーを目指す”という意味も込められているのですが、SCARZと我々は“フロントランナーになりたい”という強い想いが一致していました」

 

さらにSCARZは競技の世界でトップを目指すだけでなく、プロeスポーツチームとして常に新しい道を切り開いてきた存在です。神奈川県の川崎市をホームタウンに制定し「川崎から世界一へ」というスローガンを掲げての活動や、音楽とゲームをクロスオーバーさせた取り組みなど、ゲームを通じて『eスポーツを文化として成長させる』ことに力を入れて来ました。

 

単に試合で勝利するだけではなく、eスポーツを通じた新しい価値や魅力の発信を目指す。それはまさに、JFRグループが掲げる「くらしの『あたらしい幸せ』を発明する。」というビジョンとも重なるものでした。

 

丸岩:「日本のeスポーツは海外に遅れをとったとはいえ、ほとんどの有力チームはすでに企業の傘下に入っていて、SCARZとの出会いはまさに千載一遇。これほどのチームのバックグラウンドへ入っていけるチャンスは、二度とないと言っても過言ではないと感じました」

 

 

eスポーツチームの強化を超え、新たな価値の創造へ


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双方の想いが一致して成立したJFRグループのXENOZ子会社化。

これは「百貨店業界から初のeスポーツ事業参入」として、eスポーツ業界に限らず大きな話題を呼びました。

 

 徳橋さんは今後の展望を熱く語ります。

 「まずは既にSCARZが手掛ける事業をJFRのリソースによってレベルアップしていきます。そして、eスポーツ界全体で先例となるような新しい取り組みを打ち出していきたいと考えています」

 

友利社長は昨今のeスポーツファン層の変化を感じ取り、今必要な施策へ想いを巡らせています。

 「コロナが明け、オンラインでeスポーツの存在を知った人たちが観戦や交流会と言ったオフラインでの楽しみを求める流れが生まれ始めていると感じています。ファンを楽しませるオフラインの場は、リアル店舗を持つJFRグループと一緒になることで生み出せる強みだと思いますし、知らない人でも気軽にeスポーツに触れられる場を作っていきたいですね。ゲームに対する偏見も、より知ってもらう機会さえあれば払拭できる確信があるんです」

 

丸岩さんも「パルコのエンタメ事業と連携して、eスポーツの魅力を拡張したいですね。我々の店舗でイベントを開催してリアルな体験価値を提供したり、グッズを販売したりすることでSCARZブランドの発信を強化していきます。また、XENOZが強化しているアパレル事業においては百貨店などのネットワークが活用できます。」と力強く語ります。

 

J.フロントリテイリングからXENOZ社に出向し、副社長を務める柏木敏弘さんも「まずは経営基盤を強化しつつも、JFRグループとのシナジーを生みだすような新規事業開発に取り組みたいと考えています。SCARZを強くすることでeスポーツ業界を盛り上げていきたいです」と意欲を燃やしています。

 

10年にわたり世界のeスポーツを最前線で体感してきたSCARZと、国内主要都市部の店舗、商業プロデュース能力、多様な取引先、顧客基盤といったリソースを持つJFRグループ。この2者が融合することで、eスポーツ界のまだ見ぬ可能性を形にする機会は間違いなく存在するはずです。その先には、SCARZが掲げる「文化としての定着」も見えてくるでしょう。

 

JFRグループ内の期待感、関心も高く、友利社長との意見交換会では社員からSCARZの選手活動や選手スカウティングの方法、顧客層の変遷、そしてゲームと言うコンテンツそのものについてまで多岐に渡る質問が飛び交い、eスポーツを自分たちのビジネスとどう絡めていくのかを考え始めています。

 

JFRグループの「くらしの『あたらしい幸せを』発明する」土壌に、「人々の心に爪跡を残し続ける存在」を目指して名付けられたSCARZという種がまかれ、これからどんな花を咲かせるのでしょうか。可能性に満ちた創造は、まだスタートしたばかりです。

 

PROFILE

  • 友利 洋一

  • 徳橋 修平

  • 丸岩 昌正

  • 柏木 敏弘